はじめにお読みください

本記事は残業代の計算の一般的なしくみをやさしく整理したものであり、法的助言ではありません。割増率や計算方法は雇用形態・就業規則・労使協定によって異なる場合があります。実際の金額や未払い分の請求を検討する場合は、給与明細や就業規則を確認のうえ、労働基準監督署や弁護士など専門家にご相談ください。

「自分の残業代って、ちゃんと合っているんだろうか?」——給与明細の残業手当の欄を見て、ふとそう思ったことはありませんか。残業代の計算は、いくつかの要素に分けて考えると、しくみ自体はそれほど複雑ではありません。この記事では、自分の残業代をおおまかに把握するための基本の考え方を整理します。

残業代は「基礎となる時給 × 割増率 × 残業時間」で決まる

残業代の骨格は、次の 3 つの掛け算です。

残業代の基本構造

残業代 = 1 時間あたりの基礎賃金 × 割増率 × 残業した時間

つまり、自分の残業代を知るには「1 時間あたりいくらか(基礎時給)」「何倍になるか(割増率)」「何時間残業したか(時間)」の 3 つがわかればよい、ということです。順番に見ていきます。

1. 基礎となる時給を出す

月給制の場合、残業代の計算に使う時給は「月給 ÷ 1 か月の平均所定労働時間」でおおまかに求められます。1 か月の平均所定労働時間は「(365 日 − 年間休日)× 1 日の所定労働時間 ÷ 12」で計算します。

注意したいのは、月給のすべてが基礎賃金に含まれるわけではない点です。一般に、通勤手当や家族手当など一部の手当は基礎賃金から除いて計算するとされています。どの手当が含まれるかは就業規則や賃金規程で決まっているため、正確な金額は明細と規程の確認が必要です。

2. 割増率を当てはめる

残業の「種類」によって、賃金に上乗せされる割増率が法律で定められています。代表的なものを整理すると次のとおりです。

残業の種類割増率の目安どんなとき
時間外労働25%以上法定労働時間(1 日 8 時間・週 40 時間)を超えて働いたとき
深夜労働25%以上原則 22:00〜翌 5:00 に働いたとき(時間外と重なると合算される)
休日労働35%以上法定休日に働いたとき
長時間の時間外50%以上1 か月 60 時間を超える時間外労働の超えた部分

たとえば、定時を過ぎて 22:00 以降まで働いた場合は「時間外(25%)+深夜(25%)」が重なり、その時間帯はより高い割増になります。自分の残業がどの種類にあたるかで、同じ 1 時間でも金額が変わるということです。

3. 残業した時間を正確に把握する

3 つの要素のうち、基礎時給と割増率は給与明細・就業規則・法律から確認できます。一方で「何時間残業したか」だけは、自分の手元に記録がないと検証できません。ここが、残業代を自分で把握するうえで最大のポイントです。

会社の勤怠記録が実態と合っていればそれが一番ですが、打刻後の作業や持ち帰り仕事など、記録に乗らない時間があると、残業代の計算根拠そのものがあいまいになります。残業時間を自分で記録する方法で触れたとおり、毎日の出退勤を自分でも記録しておくと、明細の金額が妥当かを後から確かめられます。

みなし残業(固定残業代)がある場合は要注意

給与に「固定残業代」「みなし残業」が含まれている場合、一定時間分の残業代があらかじめ給与に組み込まれています。この場合でも、あらかじめ含まれている時間を超えて残業すれば、超えた分は別途支払われるのが原則とされています。

「固定残業代 30 時間分」と書かれているのに実際は 40 時間残業していた、というようなケースでは、超過分の把握に自分の記録が役立ちます。固定残業代の扱いは契約や規程によって細かく異なるため、ここでも具体的な判断は専門家への相談が安全です。

まとめ — 計算の前に「記録」がある

  • 残業代は「基礎時給 × 割増率 × 残業時間」で決まる
  • 割増率は種類で変わる(時間外 25%・休日 35%・深夜は重ねて加算 など)
  • 基礎時給と割増率は明細・規程・法律で確認できるが、残業時間だけは自分の記録が頼り
  • みなし残業でも、超えた分は別に考えるのが原則。具体的な金額や請求は専門家へ

残業代を正しく把握する第一歩は、難しい計算を覚えることではなく、毎日の労働時間を正確に記録しておくことです。記録さえあれば、計算はあとからでも検証できます。

まずは毎日の記録から — 無料で、その日から

かっぱ勤怠 パーソナルは、出退勤のワンタップ記録・実働と残業の自動集計・タイムシート出力・打刻リマインドを備えた、個人のための勤怠記録サービスです。残業時間が自動で集計され、いつでも Excel 形式でダウンロードできます。

無料ではじめる

サービスの詳しい紹介はこちら / 関連記事: 残業時間を自分で記録する方法残業の記録は証拠になる?